水草にはさまざまな種類があり、彩りが豊富です。そのため、苔を防ぐなどの効果だけでなく、水槽内を飾るインテリアとしても人気が高い商品です。しかし、残留農薬がある水草は、最悪の場合、同じ水槽にいる生物が死んでしまう危険性を秘めています。
今回は、残留農薬の中和の仕方から水草の選び方まで詳しくお話します。正しい知識を身に付けて、水槽の生物を安全に飼育しましょう。
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外国産の水草は要注意
外国産の水草には、ほぼ残留農薬が含まれています。なぜなら、水草に付く害虫を農薬で取り除いてから輸出するためです。海外の水草は、成長を早めて効率化を図るため、ほとんど水上栽培されています。すると、水草を食べるアブラムシなどの害虫が付きやすくなってしまうのです。
それに、海外からの水草は、植物検疫を受ける必要があり、害虫が少しでも付着した水草は、輸出することが禁止されています。そのため、濃度の高い農薬を使って害虫を除去し、水草の品質保持と検疫対策をしているのです。
厄介なのは、一度水草に付いた農薬は、中まで浸透して残留農薬として残ってしまうことです。
パック売りの水草が安い理由
国産の水草であっても、極端に安く、パックで売られている物は要注意です。水上栽培で大量生産された水草は、水中栽培の水草に比べてコストがかからないため安価です。しかし、水上で育った水草を水中に入れると、一時的に枯れてから水中に適した生態に変化するため、水中化させる手間を惜しんだショップが、水上化のままの水草を売っている可能性が高いのです。
水上化した水草でも、数日水中に浸けておくだけで、自然に水中化するので、品質の問題はありません。しかし、こうした手間を惜しむショップは、残留農薬に対する危機感にも疎い可能性があるのです。
残留農薬のある水草を使うリスク
残留農薬のある水草を水槽に入れてしまうと、水草から徐々に農薬が溶け出し、水槽全体に広がってしまいます。そのため、水槽内の生物にも悪影響を与えてしまいます。農薬は目には見えませんし、少量であれば問題がないように感じるかもしれません。
しかし、水槽内の生物は、体全体を水に浸けて呼吸しているため、徐々に体を蝕んでいくことになります。中でも、エビは非常にデリケートなため、微量でも農薬が含まれた水草を使うと、最悪の場合死んでしまうこともあります。
ですから、残留農薬は少量であってもリスクがあり、水中生物にとって非常に危険なものなのです。
残留農薬の除去方法
水草の残留農薬を除去する方法には、主に2通りあります。1つ目は、水草を水に浸ける方法です。農薬は水に溶けやすいため、水で流すのが効果的です。しかし、ただ流すだけでは水草に浸透した農薬までは落としきれないので、浸け置きするのです。
具体的には、水を入れた容器に水草を浸し、1時間ごとに水を入れ替える作業を5回ほど繰り返します。水を交換する手間を省きたい方は、水草を5時間ほど水に浸けるだけでも、かなり除去することができます。どちらの場合も、最後に水草全体を水で流し、表面に浮き出た農薬までしっかり落としてから水槽に入れましょう。
時間はかかりますが、水草をすぐに使用しない方や、コストをかけたくない方に有効な方法です。2つ目は、水草の農薬除去剤を使う方法です。規定の分量の水に薬剤を溶かし、10分ほど置くだけで残留農薬を除去できます。
また、水草に付きやすいカワコザラガイやスネールなどの害虫や卵も、同時に駆除できるので便利です。料金は、メーカーによって異なりますが、500円〜700円ほどで2回分入ったものが相場です。
通信販売でも購入可能ですし、粉末状なので手軽に扱えます。水草をすぐに使いたい方や、同時に害虫対策もしたい方におすすめの方法です。
残留農薬を除去した水草の安全性
残留農薬を除去する方法はありますが、100%除去し切れるとは言い難いのが現状です。しかも、人間には見えませんし、害が及ぶこともないので気付きにくいのです。そのため、ショップの大部分が、残留農薬除去後の水草を入れた水槽に、薬剤に敏感なミナミヌマエビを投入し、安全性を確かめる方法を使っています。
しかし、一度残留農薬の影響を受けてしまったエビは回復が難しく、別の水槽に入れ替えても死んでしまうことが多いのです。
残留農薬のある水草は、農薬の強さによっては、1週間以上水に水につけなければ中和しきれない場合もあり、なかなか判断が難しいのです。また、薬剤を使った除去方法も同様で、万全とは言い切れません。そのため、特にデリケートなエビを飼育するショップや愛好家にとっては、残留農薬は悩ましい問題なのです。
安全性が高い水草とは
残留農薬問題を解決するのが、無農薬の水草です。農薬を使わずに、業者が手作業で害虫を取り除きながら育てるため、農薬を除去する手間が無く、残留農薬問題もありません。しかし非常に手間がかかるため、販売価格は高めです。
そのため、水中で育成したものよりも安価な、水上化したタイプも販売されています。また、業者による残留農薬処理済の水草もあります。これは、残留農薬がある水草を、業者が数日かけて流水で中和した水草です。処理後の水草は、ミナミヌマエビを使って生存確認をしますし、業者は水草の専門知識も豊富なので、素人が処理するより遥かに安全性が高いです。
それでも、水草の一部分を使った抜き取りテストなので、抜き取っていない部分に農薬が偏って付いている可能性も完全には否定しきれません。無農薬の水草よりも安価ですが、その分100%安全とも言い難いのです。しかし、安さと安全性を兼ね備えた水草の見分け方があるのです。
それは、ショップでエビがいる水槽に入った水草を買うことです。エビが長期間生存しているので、たとえ、もともと残留農薬のある水草だったとしても、エビが生存できる状態まで中和された、安全な水草だという証明になります。
中には、水草の安全性を示す為に、水草をわざとエビ入りの水槽に入れて販売しているショップもあります。エビ入りの水槽に入った水草は、出費を最小限に抑え、安全性を兼ね備えた最もおすすめの水草なのです。
安さと安全性を兼ね備えた水草とは
外国産や安価の水草は、残留農薬が含まれている危険性が高いです。水の浸け置きや薬剤で、農薬を中和する方法もありますが、完全ではありません。特にエビはデリケートで、微量の農薬でも死んでしまう可能性があります。
安全な無農薬の水草もありますが、価格が高めです。そのため、業者が残留農薬を中和したあと、エビ入りの水槽に入った水草は、安さと安全性を兼ね備えていておすすめです。